9月10日 晴れ

 AM4時15分、起床。

 本日は幌馬車マラソンクイズ。6時30分現場着。すでに、2台の駅馬車と1台の幌馬車が待っていた。(ちなみに挑戦者たちは9時起床、10時30分現場到着なのでそうきつい日程ではない。現場での準備に時間が掛かるのでこういう無理な日程となる。)まずは幌馬車隊のリハーサル。
 リハーサルは機械の最後のチェックであり、実際に簡単な問題を出して行なう。時々出題者としてやらされるが、医学関係の話は結構うける。特に梅が咲いたとか、近頃どうも淋しいとか、エイ(ズ)ちゃんは最近はどうしているんだろうか、などという問題は皆の侘び寂びの部分を刺激するらしく質疑応答の多い事。.....

     第7チェックポイント-オレゴン街道

 駅馬車というものにのるのは生れて初めてだ。だいたい馬車というもの自体ロバのパン屋さんのしか知らない(これを知ってるだけでも結構古いが)。駅馬車に致っては西部劇でしか見た事が無い。駅馬車の御者は72歳と75歳のおじいちゃんだった。ジョンウエインのようで日本のじいちゃんたちとはちょっと違うなと思う。二人とも生れて直に馬に乗ったという。日本にはあまり馬が居らず、生れてから2度目だと言うと信じられないという顔をする。じゃあどうやって学校まで行くのかと言うから、日本人は忍術を使えるから馬などはいらないと言っておいた。忍者タートルか と言うから、俺は亀ではなく実は兎なんだと言ったら大笑いしていた。イソップ位は判るらしい。

 リハーサルも終わり、幌馬車を方向転換しようとしたところ、ドライブシャフトが折れてしまった。馬車は後進があまり巧く行かないので、方向転換は大仕事なのだ。変に負荷がかかったらしく、まんなかでポッキリと折れてしまっている。早速美術の出番だ。この程度の事ならいとも簡単に直してしまう。見ていて惚れ惚れしてしまう。

   11時、クイズ開始。僕は幌馬車の上で挑戦者の顔色が良く見える位置に陣取る。予め幌馬車の御者にはあまりスピードを出さないようにいってある。勿論、留さんも件の挑戦者の事は知っており、長引けば途中で休憩を取る手筈となっている。

 万全の体制でクイズ開始、のはずであった。が、しかし、....走りだして間もなく早押し機のウルトラハットが馬車の揺れの為こわれてしまった。どうも今回は美術につきが無い。彼等の名誉の為言っておくが、国内でも優秀な連中が集まってきているのだ。しかし、今回は機械の故障が目立ってしまう。殺気だったスタッフの罵声が飛ぶ、かわいそうに。

 やっとの事で故障も直り、クイズ再開。問題はゆっくり考えれば優しい問題だが、挑戦者たちは興奮しているのでどうしてもお手付き誤答が多くなってしまう。結果どんどん走らされて簡単な問題すら判らないと言う悪循環となる。ちなみに早押しクイズはなにも一抜けをしなくとも良いわけで、最後で抜けてもなんら問題はない。ゆっくりと自分の判る問題だけ答えればいい。全問判る奴はいるわけがないし、いたって世の中の役に立つ様な奴ではないから御安心を。とはゆうものの実際テレビに出ていると思うとかなりあがってしまうものだ。かくゆう僕も突然マイクを向けられて思わず医師に、違った、石になった事が何度もある。その度に冷かされるが、だいたいカメラに向って喋られるなんてのは常軌を逸している。(友人のアナウンサーが言ってるのだから間違いはない)話がかなりずれてしまった、元に戻そう。
 今回も問題の消費量が多く、おまけにオレゴンの太陽は眩しく熱い。結構挑戦者たちは苦しそうな顔をしている。途中で休憩を入れる。留さんの「ドクター、みてやってくれ」と言う声がするやいなや蒼くなった例の挑戦者の所へ駆寄る。大丈夫だ。他の連中も少し息が切れたぐらいで問題なし。そして再開。

 休憩がはいったお陰で挑戦者たちも余裕を取戻しなんとか答えて行く。やっとの事でクイズ終了。結局件の挑戦者を含め、女性ばっかり3人がおっこちた。内心、安心してしまう。
 留さんのお疲れさんの声で後は撤収作業にはいる。丘のうえからカメラのEさんが真っ青な顔をして駆寄って来る。なんと、撮影中にEさんのズボンの中にサソリが入っていたらしい。ゴソゴソするのでズボンのうえから叩いたところ裾のところからポロリと落ちてきたと言う。ガラガラヘビはいるかもしれないと思っていたが、まさかサソリがいるとは、冷や汗がたらりと背中を伝わる。ここから一番近い病院まで35マイルもある。くわばらくわばら。血清がない事は黙っていよう。
 罰ゲームはロデオのピエロ役、ここまでくればもう安心。写真をとることに専念。
 ロデオ場のオッちゃんにTシャツをもらう。移動移動の連続で洗濯もままならず助かる。パンツも明日からは裏返して履かなくてはならない。
 本日はバス車中泊、そのままジャクソンへ移動。明朝9時到着予定、ほこりだらけの身体でああ嬉しい。プロデユーサーのLは完全にばててしまっている。点滴でもしてやろう。音響のKは食事が合わず、口内炎になっている。余談ではあるが彼の御袋さんを手術したのは僕で、去年始めてあったとき、そう言えばどっかで見た奴だなあと思った。なんともはや因念めいた話だ。Kは今回で3回目のウルトラで、去年はおもいっきり蹴り飛ばされていたが、今年はまだ見ていない、がんばって。食事のせいもあって下痢が数名。薬を出しておく。

 バスの中では音声のYさんが何かの配線をしている。あっちゃこっちゃからコードだのスピーカーだのを引っ張りだしてやっている。どうやらバスの中でFM放送局を開局して、後ろから前へ向って音楽を放送しようとしているらしい。何ともはや器用なもんだ。

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