9月9日 ポートランド〜ダレス移動

 4時45分起床。

 まずはエコーラポイントへ。ここはオレゴン街道の終点、アメリカ大陸の西岸の風光明媚な避暑地である。いつも見ている太平洋を反対側から見る。やっぱ、でっかいわ。ここで挑戦者に、アメリカ大陸をバスで横断することを発表する。挑戦者バス1台、スタッフバス2台、機材トレーラー1台、パッセンジャーバン2台のコンボイだ。

 機材は約4トン、去年の移動の時はあまりの重さの為一 機の飛行機では積み切れなかったことを思い出す。巧く積み込めたと思っても、今度は重さの為なかなか離陸できず、飛上がってもエンジンを絞った途端、スーッと落ちそうになったもんなあ。あれ以来、飛行機好きだった僕だけど、飛行機に乗っても何となく落着かなくなってしまった。今年はとりあえず地ずりの移動、安心安心。しかしそれにしても感動の少ない挑戦者たちだ。 何を見てもぼわーっとしている。まだテレビに慣れていないせいもあるんだろうけど。演出陣がしっかりしないと去年と違っていい絵がとれないぞと心中で思う。
 早速、バスの中の席を確保する。バス No.3 の後方トイレの斜め前に陣取る。バス No.3 には主に技術、つまりカメラ、ビデオ、音声、問題担当、そし医療スタッフ(僕一人だが)が乗込んだ。このちょっと匂う2座席分のスペースが3週間の我が家となる。配付された毛布は1枚、枕が1個、ホームレスの気分かな。
 技術陣のチーフAさん下痢、発熱、風邪。そろそろ皆疲れが出だす頃、要注意。
 病気になったからと言っても日程がきまっており、誰一人欠けることが出来ない。さっさと直して又すぐ働いてもらわねばならない。腕(薬?)の見せどころだ。
 途中のガソリンスタンドで留さんが国際電話を使って“ズームイン朝”の生放送をする。車椅子に乗った人達とボランティアの人達が洗車サービスで何かの寄付を集めていた。アメリカの奥深さを目の当たりにした。普段日本でそういう人達に接する機会の多い自分ですら多少の偏見は苛めないのが実情だ。どうしてもハンディキャップを考え同情してしまう。アメリカではあくまでも個人の人格を尊重し、ハンディキャップ、それはそれとして後は対等の立場でつき合おうとしている。実に素晴らしい。果たして我々日本人にこれほどの自立が出来るであろうか、経済大国となり世界のリーダーシップを取らざるを得なくなった日本、今後十年の浮沈はひょっとしたらこんな所にあるのかもしれない。
 などと思いつつもバスは勝手に移動して行く、その間、別動隊はコンボイの空撮などに忙しい。僕はバスの中でお昼寝を決め込む。

 PM3時、ダレス着。

いわゆるアメリカのモーテルだ。熱い?シャワーを浴びる。昼も夜もハンバーガー。先行きの食生活が不安になる。

 PM8時30分よりスタッフ会議。 
 
 明日はオレゴン街道を使ってのマラソンクイズ。幌馬車の後ろに早押し機を備えつけ、挑戦者が走りながら答えるというものだ。知力だけではなく体力も要るというウルトラクイズでも名物のひとつとなっている。結構きついが普通の体力ならまあ問題ない。心配なのは挑戦者の中に一人先天性の心筋伝導障害の挑戦者がいることだ。これは突然脈拍が多くなる病気で、一般には大したことはなく、発作がおこったとしても暫くたてば勝手に直ってしまう。日常生活になんら支障はない。ただ、もしも本番中に起こってもいつ止るかが判らないのが困る。当然、走ったりすればその可能性は大きくなるわけで、その時直に止めてくれと言われてもどうしようもない。本音をいうと連れて来たくはなかった。持って来た薬の中には心臓の薬もあるが出来れば使いたくない。第一、本当に病院にでも行く羽目になったら、英語喋んなきゃならないもんなあ。
 考えても始まらないので少し美術の準備のお手伝い、早押し機のチェックを行なう 。御褒美にバーボンを頂く。美味。

 演出陣は本番前のいつもの事で今夜も徹夜、僕はここらでお休みなさい。

 国際電話2本、相手はここでも内諸内諸。AM 0 時就寝。

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