2009年10月16日放送冒頭より






臼井さんの遺体をヘリで搬送、家族が確認
 群馬県警は20日午後、群馬・長野県境の荒船山(1423メートル)の崖下で見つかった遺体を収容し、ヘリコプターで下仁田署に搬送。遺体は行方不明になっていた漫画「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人(うすい・よしと)さん(51)=本名・臼井義人(よしひと)、埼玉県春日部市=と確認された。対面した家族らが確認した。死因は全身を強打したことによる肺挫滅(ざめつ)。11日に山登りに行くと言って自宅を出て、妻が捜索願を出していた。  午後9時すぎ、下仁田署内で遺体と対面した妻らは署員に対して「(本人だと)分かりました」と話したという。霊きゅう車が同11時50分頃、同署に到着した。  遺体は19日、登山道の途中にある艫(とも)岩の崖下約120メートル地点で見つかった。県警は20日朝から機動隊員や下仁田署員ら計35人態勢で収容作業を行ったが、約60度という急斜面で発見されたため足場が悪く作業は難航。午後3時半すぎに、ようやく遺体を収容しヘリコプターでつり上げて下仁田署に運んだ。作業にあたった機動隊副隊長によると、現場は砕けた岩が敷き詰められた状態で「想像以上に厳しかった」と説明。遺体をブルーのシートにくるみ、ヘリから確認しやすい場所まで約400メートル移動させてから引き上げた。  県警によると、遺体の近くからは壊れたデジタルカメラや脱げた運動靴が見つかったほか、さらに50メートル下に落ちていたベージュ色の布製リュックサックの中には財布、携帯電話、MP3プレーヤー、黒いTシャツが入っていた。転落時の衝撃の強さを物語るように、全身骨折がみられたほか、顔の損傷も激しかった。また、はいていたとみられる半ズボンが木に引っ掛かっていたという。  検視の結果、歯型などの特徴が一致。死亡推定日時は11日午後頃。事件性はないという。遺書などは見つかっていないことから、下仁田署は誤って滑落したものとみている。「クレヨンしんちゃん」を連載している双葉社(東京都新宿区)によると、臼井さんの妻と2人の娘は20日午前、埼玉県春日部市の自宅を出発し午後3時すぎに下仁田署に到着していた。  臼井さんは山歩きが趣味で、11日朝、荒船山に日帰りで登山に行くと家族に告げて自宅を出発。12日に妻が埼玉県警春日部署に捜索願を出した。11日に上信鉄道下仁田駅からタクシーで、荒船山の長野県側登山口に1人で向かったことを同署が確認していた。  行方不明中には長野県軽井沢町や群馬県下仁田町で携帯電話の微弱電波が確認されていた。同署によると、高い場所に登った場合、複数の基地局で微弱電波がキャッチされることがあるという。
 ◆臼井 儀人(うすい・よしと)本名・臼井義人(よしひと)。1958年(昭33)4月21日生まれ、静岡県出身。77年に春日部工業高校卒業後、デザイナー専門学校を経て、広告関係の会社に入社。「だらくやストア物語」でWeekly漫画アクション(双葉社)新人賞佳作を獲得し、87年に同作で漫画家デビュー。90年8月に「Weekly漫画アクション」に「クレヨンしんちゃん」の連載を開始した。
スポーツニッポン2009年09月21日 より